詰め物・かぶせ物が取れてしまったら
外れてしまった詰め物やかぶせ物はご自分の判断で捨てないで下さい。 歯医者さんに持ってきてもらえば、元通りに接着できる場合があります。無くしてしまったり、飲み込んでしまった場合は、作り直しが必要です。
外れてしまった詰め物は、ティッシュ以外のもので保管してください。ティッシュにくるんで取っておいたのに、間違えて捨ててしまうことがたまにあります。金属製の詰め物やかぶせ物は通常の日常生活の中では変形しませんので、よっぽど心配ありません。
詰め物
歯の詰め物が取れる原因
- 詰め物と歯との境目が虫歯になっている
多くの場合、歯が再び虫歯になっていることが多いです。詰め物と歯との境目が虫歯になってしまい、接着しているセメントが外れて詰め物が外れてしまいます。 - 歯の形態的に外れやすい設計にしかできないため何度も外れる
小臼歯と呼ばれる歯は、そもそもの歯が小さいのに、虫歯になり削るとさらに小さくなってしまいます。外れないようにするにはクラウンというかぶせ物にした方がよいのですが、そうすると歯をさらに削る必要があります。そのため、歯医者は外れやすいことを前提に、詰め物をおススメする場合があります。この場合は、どんな強力なセメントを使用したとしても、外れやすいです。そもそもの歯の形態が外れやすいので、仕方がないのです。
何度も外れてしまって困ると言われれば、かぶせ物にするという治療法になります。 - 接着用のセメントが劣化した
詰め物を歯に接着する時に使うセメントが、治療後数年すると劣化する場合があります。実際にはあまり症例はありません。セメントの劣化→スキマができる→虫歯になる、となり外れるというよりは虫歯になる方が多いからでしょうね。
原因別の治療方法
- 詰め物と歯との境目が虫歯になっている場合
⇒虫歯を削り、再度詰め物にする、あるいはかぶせ物になる場合もあります。型取りをして詰め物あるいはかぶせ物を装着します。通院回数は2~3回です。 - 歯の形態的に外れやすい設計にしかできないため何度も外れる場合
⇒患者様ご本人と相談し、歯を削りたくない場合は外れた詰め物を再度接着します。通院回数は1回です。
⇒歯医者にあまり通院したくないとおっしゃられればかぶせ物にします。かぶせ物用に歯の形を削り、かぶせ物用に型取りをしてかぶせ物を装着します。通院回数は2~3回です。 - 接着用のセメントが劣化した場合
⇒歯の汚れを取り、外れた詰め物を再度接着します。通院回数は1回です。
取れたら放置しない
- 詰め物が入らなくなる
- もう一度虫歯になる
詰め物が外れてしまったら、なるべく早く歯医者を受診してください。
放置すると、約2-3週間で詰め物が入らなくなる場合もあります。また、詰め物であった歯は、歯の外側の一番硬い組織であるエナメル質がもうすでに削られています。削ってある歯は簡単に再度の虫歯になりやすいので注意が必要です。
インレーと呼ばれる詰め物が入っている歯が再び虫歯にならないように
なるべく歯を削る量を少なくする努力をしています。
しかし、すでに虫歯になっている部分は残しておくことはできません。ちゃんと削ります。そして、フリーエナメルといって、外側の歯の部分だけが虫歯にならずに残ることがあります。そういった状況のときは、臨機応変に対応します。
(教科書的に言えば、フリーエナメルは迷わず削除する、が大原則です。この内容は歯医者さんしか分かりませんね。)
どの歯医者さんも型取りは精密にしたいと心がけています。もちろん、当院もそうしています。当院では、原則、歯医者が型取りをして、石膏模型をcheckし、同一の歯医者が技工物をセットするように心がけています。
かぶせ物
かぶせ物とは、歯の全周をぐるっと削り、その歯の歯型を取ってきて口の外で作製した技工物のことです。歯に被せます。
かぶせ物が取れる原因
- かぶせ物と歯の境目が虫歯になっている
詰め物が外れる場合と同じく、多くの場合、歯の中が再び虫歯になっていることが多いです。かぶせ物と歯との境目が虫歯になってしまい、かぶせ物が外れてしまいます。 - 咬合高径が低い
患者様の口の状況によりますが、過蓋咬合といった、咬み合わせが深い方は、咬合高径がとれません。かぶせ物の高さが極端に低くなるため、物理的に外れやすくなります。 - 歯の形態的に外れやすい設計にしかできないため何度も外れる
歯の萌出している向きによっては、アンダーカット(歯のでこぼこのうちの、へこんでいるところ)をなくすために、そのように歯を形成せざるを得ない場合があります。もちろん、かぶせ物を入れる前に、その歯自体を矯正治療で正しい萌出方向に誘導できていればよいのですが、現実にはできない場合がほとんどだからです。
治療方法
- かぶせ物と歯の境目が虫歯になっている
⇒虫歯を削り、再度かぶせ物にします。しかし、かぶせ物の中が虫歯であった場合、再度かぶせ物にできるかどうかは分かりません。歯の根っこまで虫歯になっていることも多く、やり直しすらできなくなってしまう場合があります。つまり、抜歯せざるを得ない状況ということになります。
一番多い症例は、6歳臼歯とよばれる第一大臼歯のかぶせ物が外れてしまった、と来院されたものの、歯の分岐部まで虫歯になっていたり、あるいは歯の分岐部が折れている(=歯根破折)していたりして、抜歯せざるを得ないというパターンです。
かぶせ物にできると判断した場合の通院回数は、歯の根っこの治療から行うと4~5回で、土台からの治療から行うと2~3回となります。
(歯のねっこが割れていて(歯根破折)抜歯になった歯 ぶよぶよの歯ぐきが歯の根っこのまわりにへばりついています) - 咬合高径が低い
⇒虫歯がないことを確認し、再度接着します。可能な限り、今のかぶせ物を使い続けていただくことをおススメします。通院回数は1回です。 - 歯の形態的に外れやすい設計にしかできないため何度も外れる
⇒虫歯がないことを確認し、再度接着します。可能な限り、今のかぶせ物を使い続けていただくことをおススメします。通院回数は1回です。
取れたら放置しない
なぜなら、
- かぶせ物が入らなくなる
- もう一度虫歯になる
- 咬めない
- その歯がのびてくる
- 咬み合っている歯の方がのびてくる
といった悪影響があるからです。放置したことにより治療が複雑になり、治療時間や回数が増えてしまいます。
歯医者さんには、なにかあったらすぐに受診し、悪くならないようにしていただくことで通院回数が少なくなる場合があります。