歯医者さんは痛くなってから行くところではなく、きれいな歯であり続けるために通うところであって欲しい。
1年に数回、定期的に通って、ご家庭でご自身でむし歯ができないような環境を作れるのであれば、痛い思いをすることなく健康なお口を保つことが可能なのです。

虫歯の予防法は、①虫歯の菌を減らすことと、②その活動を抑えること、そして③歯を丈夫にすることです。

80歳になっても自分の歯が20本以上ある8020(はちまるにいまる)を達成した人の割合が、前回調査の40.2%から51.2%に増加していることなどが分かりました。

厚生労働省 平成28年歯科疾患実態調査より引用
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-28.html

予防歯科の重要性

予防歯科の基本は定期的に歯科医院に通って健康なお口を保つことです

歯医者さんのイメージといえば、「痛いから嫌」「何回も通わなくてはいけないから面倒だ」「削る音が怖い」などといったものが多いかと思います。
しかし、1年に数回、定期的に通って、ご家庭でご自身でむし歯ができないような環境を作れるのであれば、そのような嫌な思いをすることなく健康なお口を保つことが可能なのです。

患者さまにとっても虫歯でつらい思いをしたり、嫌な思いをして歯医者さんに通わなくてもよくなります。
歯医者さんも歯を削る必要がなくなります。せっかく治療してむし歯を治しても、患者さまのお口の環境が改善されていなければ、再びむし歯ができて、また麻酔をかけて歯を削って、というくり返しになるだけです。
定期的な来院とメンテナンスが歯の健康のための一番の近道です

当院の診療における理念は、予防型の歯科医院を目指しています。以下に、予防型と反する概念である治療型の歯科医院と、比較して示します。

治療型の歯科医院とは

虫歯になってしまって、歯医者でつめる→
再度虫歯になり、今度は銀のつめものをする→
再度虫歯になり、神経をとってかぶせものにする→
再度虫歯になって…
といった、痛くなったときだけ歯医者にかかることを繰り返すのが、治療型の歯科医院と呼ばれています。

予防型の歯科医院とは

一方で、現在、一般的になっている予防型の歯科医院とは、虫歯や歯周病にならないように前もって管理する歯科医院のことです。虫歯と歯周病にならないようにするために、
①原因を取り除く
虫歯と歯周病にならないように、バイキンのかたまりである「バイオフィルム」を取り除き、お口の中を清潔にする。
②リスクを理解する
患者様ひとりひとりの現状、虫歯や歯周病のなりやすさ(リスク)を理解する。
③継続的なケアをおこなう
患者様ご自身が自分の歯に関心を持ち「自分の歯を自分で守る」というモチベーションを保ちながら、ご家庭で歯磨きを行う。当院も、すべての患者様にとって、予防型の歯科医院でありたいと願っています。

お子様の虫歯予防で一番大切なのは、仕上げ磨きをちゃんとしていただくことです。

「虫歯の治療をしてくれないから」と心配されて歯医者さんにお子様を連れて来院される方がいらっしゃいます。色々なご家庭の事情があることも十分理解しているつもりですが、やはり一番大切なのは保護者の方の毎日の仕上げ磨きとなります。仕上げ磨きをせずに、「虫歯が進行するのが心配」とおっしゃってる方がみえますが、あえて厳しいことを言わせていただくと、本末転倒です。どんなに虫歯の進行が心配とおっしゃっていても、保護者の方が仕上げ磨きしていないのでは、歯医者としてもどうしてあげることもできません。

虫歯が進行しないポイント①

夜、寝る前に必ず保護者の方が仕上げ磨きをしましょう。寝ているときはつばの分泌量が少なくなるため、お口の中をきれいにしてくれる自浄作用が失われます。一番効率よく虫歯の進行を防ぐためには、「夜寝る前に」必ず磨いていただくことが重要です。

虫歯が進行しないポイント②

歯ブラシの届きにくい場所(=虫歯のリスク部位と言ったりします。)を保護者の方が理解することが重要です。

①歯と歯ぐきの境目②歯と歯の間③噛む面のミゾです。
子どもの歯の時は、「①の歯と歯ぐきの境目」はそんなに気にされなくても大丈夫です。以下のリンクは大人の方への自分磨き用のものですが、分かりやすく解説されています。

▶︎虫歯のリスク部位

虫歯が進行しないポイント③

清掃補助道具=デンタルフロスを使用してください。歯と歯の間は歯ブラシでは十分に磨けません。フロスを必ず使用してくださいね。

虫歯が進行しないポイント④

家庭用の低濃度のフッ素や、キシリトールを使用してみてください。

虫歯が進行しないポイント⑤

食習慣を見直してみてください。ダラダラとジュースやキャラメルを口の中に含んでいませんか?
規則正しい食生活になるだけでも十分虫歯予防になります。

お口の中は、その子の家庭環境を物語る

お母さんたちの日々の考えや行動が、お口の中ににじみ出てきます。仕上げ磨きをしていないことを隠そうとしても、お子様の口の中を見れば一目瞭然です。

日々の診療の中で、「お母さんたちの行動を積極的に促すことができる」にはどうしたらいいかと、歯医者としていつも言葉がけを考えています。ただ単に、磨いてね、ではなくてハミガキのポイントを押さえてできるだけ手抜きをしながら生活してほしいと願っています。