当院の診療における理念は、予防型の歯科医院を目指しています。以下に、予防型と反する概念である治療型の歯科医院と、比較して示します。
予防型の歯科医院とは
現在、一般的になっている予防型の歯科医院とは、虫歯や歯周病にならないように前もって管理する歯科医院のことです。
虫歯と歯周病にならないようにするために、
①原因を取り除く
虫歯と歯周病にならないように、バイキンのかたまりである「バイオフィルム」を取り除き、お口の中を清潔にする。
②リスクを理解する
患者様ひとりひとりの現状、虫歯や歯周病のなりやすさ(リスク)を理解する。
③継続的なケアをおこなう
患者様ご自身が自分の歯に関心を持ち「自分の歯を自分で守る」というモチベーションを保ちながら、ご家庭で歯磨きを行う。
当院も、すべての患者様にとって、予防型の歯科医院でありたいと願っています。
治療型の歯科医院とは
一方で、治療型の歯科医院とは
虫歯になってしまって、歯医者でつめる→
再度虫歯になり、今度は銀のつめものをする→
再度虫歯になり、神経をとってかぶせものにする→
再度虫歯になって…
といった、痛くなったときだけ歯医者にかかることを繰り返すのが、治療型の歯科医院と呼ばれています。
残存歯数に見る海外と日本の違い
1. 残存歯数の違い
- 日本: 高齢者の残存歯数が少ない傾向があります。これには、過去の歯科医療が予防よりも治療に重点を置いていたこと、また、定期的な歯科受診の習慣が少なかったことが影響しています。
- 海外(欧米): 欧米諸国では、高齢者の残存歯数が比較的多く保たれています。これは、長年にわたる予防歯科の取り組みや、歯の健康に対する意識の高さが影響しています。
80歳になっても自分の歯が20本以上ある8020(はちまるにいまる)を達成した人の割合が、前回調査の40.2%から51.2%に増加していることなどが分かりました。
厚生労働省 平成28年歯科疾患実態調査より引用
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-28.html
2. 予防歯科の取り組みの違い
- 日本:
- 歯科医療はこれまで「治療中心」であり、痛くなったら歯医者に行くという考え方が一般的でした。
- 最近になって予防歯科の重要性が認識され、学校教育や保健活動を通じてフッ素洗口や定期的な歯科検診が普及し始めています。
- 歯周病対策や口腔ケアに対する意識が高まりつつありますが、欧米と比べると予防の習慣が根付くにはまだ時間がかかる状況です。
- 海外(欧米):
- 欧米では、早くから予防歯科が普及しており、定期的な歯科検診やクリーニングが一般的です。
- フッ素の使用が広く普及しており、歯磨き粉や水道水にフッ素が添加されている国も多いです。
- 予防歯科が健康保険制度に組み込まれていることが多く、国民が定期的に歯科を訪れる習慣が確立されています。
- 子供の頃から予防のために歯科を訪れることが推奨されており、残存歯数を多く保つことができる要因となっています。
まとめ
日本では、近年になって予防歯科の重要性が認識され、取り組みが進んでいますが、欧米諸国に比べるとまだ発展途上です。欧米では、長年にわたる予防歯科の取り組みによって、高齢者の残存歯数が多く保たれており、予防の習慣が社会全体に根付いています。日本でも、今後さらに予防歯科の重要性が広まり、残存歯数が増加することが期待されています。