最終更新日 2023.05.01
歯医者さんで入れ歯を作るとなると何回も通う必要があります。
実際に歯医者が何を見ているのか、詳しく解説していきたいと思います。
総入れ歯の場合
口腔内の状況
歯が全部なくなると、口の中はこのようになります。顎堤といって、ドテは歯がなくなると吸収するんですね。
ここからこの方に一番最適なあごのポジションを探していきます。
一般的な保険診療での手順をご説明いたします。
さて、まずは上下のあごのかたどりをおこないます。
印象採得(かたどり)
石膏を流して模型にしてみると
石膏模型です。上下の顎の復元はこのようになります。印象材の収縮・膨張等により、多少の寸法誤差はありますが、実際の口腔内の状況が模型で復元されました。
この模型を利用して、各患者さんごとに異なる、噛む場所を、正面から、側面から、そして上下からと立体的に探っていきます。
次は、この上あごと下あごの位置がどのような位置関係にあるかを再現するために必要な咬合採得を行います。その前に、さらにイメージをつかむために、推測の顎位の画像を提示します。
咬合床:正面観(推測)
![](https://owariasahi-haisya.com/wp-content/uploads/2021/03/9dd7604ed66236acb773ee8d602417f0-1024x727.jpg)
真正面から見て、なんとなく真ん中っぽいところで噛んでるんじゃないかな、と想像するわけです。が、実際は真ん中より右側で噛んでいたり、左側で噛んでいたりするわけです。
一方で、横から見てみても同じ推測があるわけです。
咬合床:側面観(推測)
![](https://owariasahi-haisya.com/wp-content/uploads/2021/03/f4200f6be1e4d6d6154547c63e6da2e6-1024x768.jpg)
パラフィンワックスを軟化して顎位を構築していきます。実際は、
咬合採得(かみ合わせ)
![](https://owariasahi-haisya.com/wp-content/uploads/2021/03/12a775513bd7e59886bb06a713a6c7fa-1-1024x768.jpg)
これを咬合器という装置にとりつけると、上下の顎の位置関係が再現できます。
![](https://owariasahi-haisya.com/wp-content/uploads/2021/03/9a096fda6535034c58fe161878d984c1-1-1024x829.jpeg)
患者さんの噛む位置がこれで再現できました。
続いては、人工歯配列という工程を行います。入れ歯の歯の部分をどこに並べるかということを確認していきます。
人工歯配列(歯を並べてみる)
微妙な差ですが、患者さんの口の中で確認し、歯の出っ張り具合や歯の傾き具合などをベストな位置に決定していきます。口元の豊隆具合は思った以上に入れ歯で調整できたりします。名女優:樹木希林も入れ歯をいれないで映画の撮影をしていましたよね。すごく老けたなーと思いました。入れ歯がないからですね。
義歯セット(入れ歯の完成)
世界に一つしかない自分のための入れ歯です。保険診療のルールとして、入れ歯を作ってからは他の医療機関でも半年間は保険診療での入れ歯は作れませんので、紛失しないように気をつけましょう。
義歯の保管方法
入れ歯ケース(タッパーでも、なんでもOK)に水をはり、その中に入れ歯を入れてください。就寝時には、入れ歯用のブラシや使い古したご自分の歯ブラシで入れ歯も洗ってあげてください。入れ歯洗浄剤を使用すると、金属のバネの部分が黒ずみますので当院ではあまりお勧めしていません。総入れ歯は、入れ歯洗浄剤を使用していただいてもかまいません。保険の総入れ歯はバネ(クラスプ)がありませんからね。
義歯の調整
入れ歯をセットしたら、必ずと言っていいほど痛みがでます。
顎堤といってドテは実際には圧力がかかると少し圧下します。ですが、実際のかたどりの時は、圧力がかかっていない状態でかたどりするので、調整が必要になります。
おまけ:自費のかたどり(精密印象採得)
![](https://owariasahi-haisya.com/wp-content/uploads/2021/04/d534a9d3920a813a43af2fe2e3210d03-1024x773.jpg)
![](https://owariasahi-haisya.com/wp-content/uploads/2021/04/13b5b0a3592f3a4c0fde242ec6d1eba5-1024x535.jpg)
精密印象採得とは、個人トレーにモデリングコンパウンドといった特殊なかたどり材を使用して行うかたどりのことです。一人の患者さんに約1時間程度かかります。入れ歯は、実際には噛んだ時に使用するものですので、加圧した状態でかたどりができるとよりよいものになります。