厳密にいうと、お子さんは歯槽のうろうではなく、歯ぐきの炎症だけにとどまる歯肉炎の状態であることがほとんどです。
ここでは、分かりやすく子どもの歯槽のうろうとしました。

大きく分けると、次の3つになります。

  • 萌出性歯肉炎
  • 不潔性歯肉炎
  • 侵襲性歯周炎

萌出性歯肉炎

萌出性歯肉炎とは、歯が萌えてくるときに生じる、歯肉炎のことを指します。よく見られるのは、6歳前後に、大人の歯(第一大臼歯)が奥から生えてくる途中で、その周りの歯ぐきが痛いことがあります。歯が萌出することによって治っていくことが多いですが、免疫力が低下しているとさらに腫れたり痛くなったりすることがあります。(歯冠周囲炎)

不潔性歯肉炎

ハブラシが足りなかったり、ダラダラと食事やジュースをとっていたりすることでおこる歯肉炎です。最も一般的な歯肉炎です。虫歯を併発することもあります。

侵襲性歯周炎

歯周炎は小児にみられることはまれです。いわゆる「歯槽のうろう」は中年以降に発症します。
一方で、10代後半から20代前半にかけて発症し、数年で急速に進行するタイプの歯周炎があります。これを「侵襲性歯周炎」といいます。歯の表面に歯の汚れ(プラーク)があまり付いておらず、歯ぐきの炎症も軽度であるにもかかわらず、歯の動揺が急激に生じるなど、悪化のスピードが速い歯周炎のことを指します。

原因

歯の汚れであるプラーク中のA.actinomycetemcomitansやP.gingivalisの存在比率が高いと言われています。

処置

歯ぐきの基本検査とともに、原因菌の同定を行います。原因菌の同定は一般的な歯医者さんでは行うことができません。そして、歯ぐきの治療を徹底的に行います。歯周病についての教育やハブラシの仕方、フロスの仕方といった指導を行います。症例によっては、歯周病の専門医の先生へ紹介する場合もあります。自分でのお口の管理と、定期的な歯医者さんへの通院が必要です。

遺伝的なものもありますが、多くは原因不明です。家族内で発症することがあります。全身的な問題はありません。

かかりつけ歯科医のための小児歯科ガイドブック(医歯薬出版)参照