バイ菌が歯をやっつけると、虫歯になります。バイ菌が歯ぐきをやっつけると、歯周病になります。
20代~30代といった若い時にはそんなに気にならなかった方も、40代、50代になると少しずつ歯周病になっていきます。自分で磨けていると思っているハミガキは、実はちゃんとできていないかもしれません。「疲れると歯ぐきがうずく…」とか、「奥歯がたまに痛いときがある」といった症状は歯周病のサインかもしれません。毎日毎日積み重ねられた患者様ご自身のハミガキの成果の現れが、口の中に現れます。歯周病は、あなたのハミガキの仕方に黄色信号を出しているのです。
尾張旭市東栄町の歯医者 にしお歯科では、まず歯周病の治療を行い、その後、継続的に経過をみせていただいております。歯周病で歯を抜かなければならない患者様をひとりでも減らしたいと考えております。
歯周病が原因で歯を失う?
年齢とともに歯周病が原因で歯を抜いている割合が増加しています。
歯周病が原因で歯を抜くに至ったケースは、15歳未満からみられ、25~29歳で約3%、35~39歳では約12%、40~44歳では約24%みられる。
厚生労働省 歯周病罹患の現状と対策について
50~54歳までは、う蝕(虫歯)が原因で抜歯に至ったケースの割合が歯周病より多いですが、 55歳以降の各年齢層においては、歯周病が原因で歯を抜くに至ったケースが多くを占めています
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000779831.pdf
【参考記事】45歳を過ぎると、2人に1人が歯周病にかかっている?
30歳から約30%の人が歯周病に罹患しており、40歳からは約40%の人が歯周病に罹患しています。さらに50歳以上の年齢の方は、半数以上の人が歯周病を患っていることが分かります。
詳細は 厚労省平成28年歯科疾患実態調査 にてご確認ください
要注意!こんな症状はありませんか?
- 歯を磨いている時に歯ぐきから出血することがある
- 歯ぐきがやせてきた
- 口の中で甘い味がする時がある
- 口臭が気になったり、誰かに指摘されたことがある
- かむと歯が動いて痛い
- 歯並びが悪くなった気がする
歯周病の方の口の中
歯周病は、細菌の感染症です
口の中には、およそ350種類の細菌が非常にたくさん(1000億の数)存在しています。歯周病原菌には、
- Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス菌:P.g菌)
- Actinobacillus actinomycetemcomitans(アクチノバチラス・アクチノマイセテムコミタンス菌:A.a菌)
などがあります。
一方で、歯肉炎から歯周炎への進行に関与していると考えられているのが、Fusobacterium nucleatum(フゾバクテリウム・ニュークレアトム菌)や、Prevotella intermedia(プレボテラ・インターメディア菌)などの増加です。
健康な歯肉の細菌構成には、グラム陽性菌の占める割合が85%と言われています。
一方で、大人の歯周病の歯肉の細菌構成は、偏性嫌気性菌(酸素を含む環境下では生育できない菌)がほとんどであり、グラム陰性菌(P.g菌やA.a菌は、グラム陰性菌)が75%を占めているという特徴があります。
健康な歯肉と歯周病の歯肉とでは、バイオフィルム(汚れ+バイキン)の構成が違うのです。
「歯周病学」より
歯周病の段階について
歯周病には、歯肉炎と歯周炎があります。以前は、歯周炎のことを、「歯槽膿漏」と言っていました。
歯肉炎の段階
歯と歯ぐきの境目に、プラーク(歯垢)がついています。歯ぐきに炎症がおこりますが、歯槽骨の破壊は見られません。まだ健康な歯ぐきに回復できる状態です。
歯周炎の段階
歯周病(歯周炎のこと)とは、歯ぐきが炎症をおこし、歯根膜(歯の周りの膜みたいなもの)が破壊され歯槽骨が吸収する状態のことを指します。
歯周病は、主に、バイオフィルム(プラークや歯垢とほぼ同義)の中の歯周病菌(アクチノバチラス菌:A.a菌や、ポルフィロモナス菌:P.g菌)の成分や、その代謝産物が原因となり罹患します。
これらのグラム陰性菌の外膜成分のひとつであるLPS(リポポリサッカライド)が、さまざまなルートから自分自身の免疫細胞を刺激することで、たんぱく質を分解する酵素(プロテアーゼ)が産生されます。それにより、歯根膜や歯槽骨を破壊します。
歯周病の治療について
歯石は、歯ぐきの上に付いてくる縁上歯石、そして歯ぐきの中に付いて縁下歯石の2種類があります。縁上歯石とは歯ぐきの上に付いているため、虫歯や歯肉炎の原因となります。
縁下歯石は血液成分が混在しているため黒っぽく見えます。この歯石自体が内毒素(LPS)という毒素を出すことにより、歯を支えている歯槽骨を溶かす歯周病の一番の原因となります。この歯石は、歯ぐきの中の見えない部位にあるため自覚なく付着し、経過することです。そのため、定期的に歯石取りや検診を受けていないと、気付いたときには歯周病が進行していることがよくあります。
歯周病の予防と改善には毎日のブラッシングと定期検診が大事です
お口の中が、きれいで悪いことはひとつもありません。
磨きすぎるぐらい、お口の中をピカピカにしましょうね。歯ブラシだけでなく、はみがきのための補助用具(デンタルフロス、歯間ブラシなど)を使用してもらうことが大切です。歯と歯の間や歯並びが悪いところは、歯ブラシでは届きません。そういったところについた汚れを落とすには、デンタルフロスや歯間ブラシといった補助的な用具を活用していただくのがオススメです。歯医者として診療していますが、虫歯になっているところや歯周病になっているところというのは、およそ80%(筆者の経験による推測値)が、こういうみがきにくいところです。ですから、歯をお掃除する道具をひとつ増やすだけで、格段にお口の中がきれいになるんです。以下のリンクに詳しいことが記載してありますので、ぜひご覧ください。
【参考記事】
▶︎ハミガキの効果的な方法
ご自分でちゃんと歯みがきをしているつもりでも、意外と磨けていない場合が多いです。
▶︎歯ぐきから出血しませんか?
歯茎からの出血は歯周病の初期段階の場合が多いです。
▶︎デンタルフロスの効果的な方法
歯みがきのための補助用具であるデンタルフロスの使用方法
歯周病のリスクファクター(危険因子)
★環境(食生活や喫煙、教育レベルなど)
★宿主(素質や体質、年齢、性格、ストレスなど)
★病因(歯垢、歯石、歯周病関連菌など)
があげられます。
喫煙や糖尿病を例にあげると、歯周病に対する喫煙者のリスクは、非喫煙者に比べて約2-9倍と言われています。2型糖尿病患者の歯周病に対するリスクは、非糖尿病患者と比べて、ある文献によると約3倍と考えられています。また、最近では、心筋梗塞などの全身疾患との関連も指摘されており、歯周病のコントロールの重要性が示唆されています。