大人の奥歯の色が変だなと感じたことはありませんか?
歯医者さんで指摘されるまでは気づかなかったというお子さまも多いです。
歯の石灰化とは
歯の成長の最終段階に、「石灰化」という時期があります。その時期に何らかの障害を受けると、低石灰化が起きる場合があります。
特に、6歳臼歯(第一大臼歯)は、出生前後に石灰化が始まります。
「大臼歯切歯低石灰化:MIH(Molar Incisor Hypomineralization)」では、6歳臼歯が主に石灰化障害の影響を受け、それより少ない程度で永久切歯が影響を受けるといわれています。「大臼歯切歯低石灰化」に罹患したお子さまには、切歯に何の障害もない方がいます。
最も軽症な症例の場合は、境界明瞭で不透明で、小さく、白か黄色の斑点として歯に現れます。
最も重症な症例の場合は、歯全体が欠損していることがあります。歯の一番外側のエナメル質と呼ばれる硬いところそのものの表面は正常でも、萌えそろった後、しっかり咬めるようになると歯が崩壊するかもしれないと言われています。
【参考記事】
▶︎子供の歯槽のうろうについて
お子さんは歯槽のうろうではなく、歯ぐきの炎症だけにとどまる歯肉炎の状態であることがほとんどです。
低石灰化の原因は?
「大臼歯切歯低石灰化」について、妊娠期の投薬や、 出生時に関係する合併症、出血の問題、疾患など様々な原因が示唆されています。
さらに生後1年間に起こった環境的な害への曝露や健康の問題が、石灰化障害と関係しているとされています。
頻度としては、北欧諸国では約 20%であり、6%がより重度な歯の崩壊を有していると言われています。
気を付けることは?
早期診断と効果的な予防処置が重要です。
低石灰化した歯は温度にとても敏感で、歯磨きを行うのが難しいことがあります。
可能ならば、エナメル質表面を強化することによって低石灰化部分の萌出後の崩壊を予防することが重要です。定期的なフッ化物の利用と歯医者さんでの口腔清掃の介助が重要で、特に萌出後の最初の歯医者さんでのチェックの時期が重要です。この低石灰化のエナメル質のある6歳臼歯を治療する時には、麻酔を効かせることが難しい場合もあります。
低石灰化した歯の治療方法は
グラスアイオノマーセメントおよびコンポジットレジンによる充填をまず行います。
フッ化物の歯面塗布も効果的です。
6歳臼歯は咬む力が強いため、詰めたはずの詰め物が取れてしまったり、低石灰化している歯はもろいので歯自体がかけてきたりしますので、定期的な経過観察が必要です。何度も欠けてしまう場合は、既製冠による修復が必要になることもあります。
参考文献
スウェーデンのすべての歯科医師・歯科衛生士が学ぶ 最新小児歯科
Oral Care
臨床医のための小児歯科 BASIC & CASEBOOK
デンタルダイヤモンド社