先日、愛知県歯科医師会主催の講習会があり、抗菌薬についての話もありました。
今まで、歯科では第三世代セフェム系を投与することが多かったように思います。数年前にも、歯医者でのセフェム系抗菌薬の処方に関する注意喚起がメディアで取り上げられていたのを思い出します。

歯医者で一般的に処方される抗菌薬
歯医者で使用する抗菌薬には、ペニシリン系・セフェム系・マクロライド系・クリンダマイシン系・ニューキノロン系抗菌薬が一般的です。なぜなら、お口の中で腫れたりする原因となる感染症から検出される細菌(バイキン)に上記の薬が最も効果的に効くからです。
口の中で腫れたり膿んだりする原因の細菌には
(歯性感染症の起炎菌には)
- 口腔レンサ球菌 ストレプトコッカス
- 嫌気性菌 ペプトストレプトコッカス
- 嫌気性菌 プレボテラ
などが挙げられます。
「これらの起炎菌に効果的な薬はどれか」の結論が、ペニシリン系・セフェム系等の抗菌薬であるわけです。理想は、抗菌薬は起炎菌にだけ効く薬がよいです。
基本的にはペニシリン系抗菌薬が、歯医者の第一選択薬となっています。(以下の表を参照)
当院では、ペニシリン系抗菌薬のアモキシシリンを使用しています。
ただし、抗菌薬適正使用のためのガイドラインでは、持病がない方の、「通常の抜歯には、予防抗菌薬の使用は推奨しない」とありますので、抗菌薬すらそもそも必要ないと記載されていますね。


「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」2016年 参照
公益社団法人日本化学療法学会/一般社団法人日本外科感染症学会https://www.chemotherapy.or.jp/modules/guideline/index.php?content_id=1
AMPC:アモキシシリン、CLDM:クリンダマイシン,ABPC:アンピシリン、AZM:アジスロマイシン、CAM:クラリスロマイシン