Oral Care社が配信した、2025/5/11開催「改めて考えよう。『予防歯科』とは何か?」Prof. Dan Ericsonの講演会をオンデマンド配信で受講しました。ダン・エリクソン先生は、スウェーデン王立マルメ大学歯学部カリオロジー講座の上級教授であり、虫歯予防研究の第一人者でもあります。虫歯予防先進国のスウェーデンでの実際の話を聞ける貴重な講演でした。

私が印象に残ったことは、

  1. スウェーデンと日本の12歳児の虫歯の比較では、2020年頃以降には差が見られない
  2. スウェーデン人の65歳と日本人の50歳の虫歯の数が同じ
  3. フッ化物配合の歯磨き粉を使用する
  4. 虫歯の初期病変(エナメル質表層)がう窩になるまで8年かかる
  5. さらに象牙質の半分まで進行するには3年かかる

です。

1.2 スウェーデンと日本の虫歯比較

エリクソン先生によると、スウェーデンと日本の12歳児の虫歯の比較では、2020年頃以降には差が見られなくなりました。グラフをどう読み解くかにもよりますが、少なくとも2005年ごろまでは、明らかに日本の12歳児の方が虫歯が多かったですが、それから徐々に日本人の虫歯が減少していきました。また、中年期以降の差が顕著になってきており、スウェーデン人の65歳の虫歯の数と日本人の50歳のそれが同じという結果になったそうです。

3. フッ化物配合の歯磨き粉を使用する

世界中にすでに知られていることですが、再度、フッ化物の重要性を語られました。

4.5 虫歯進行にかかる年数

エリクソン先生によると、虫歯の初期病変(エナメル質という歯の一番外側にある構造の、表層部分に限局している初期の虫歯のこと)がう窩(虫歯による穴になること)になるまで、約8年かかるとのことでした。それからさらに象牙質(エナメル質の内側の構造)の半分まで進行するには約3年かかるとのことでした。(スウェーデンでの12歳から27歳までの250人の患者さんのデータによる)

我々歯科医師が、現在、治療の目安としているのは、虫歯が象牙質の半分まで達していると診断したら歯を削って治療を行います。したがって、初期の虫歯から約11年の時間を経て治療となりますので、その間にぜひフッ化物を有効に活用して虫歯を食い止めたいですね。

にしお歯科には女医が在籍しています。

▶︎著者について

西尾麻矢子 (にしお歯科こども歯科院長)

・歯科医師 医学博士
・日本口腔外科学会認定医
・日本口腔科学会認定医