静岡県歯科医師会主催の学術大会にオンラインで参加しました。

「う蝕治療の潮流」小田原市の伊藤デンタルクリニック伊藤直人先生の講演を受講しました。虫歯について非常に分かりやすく、おもしろく講演していただきました。虫歯の知識をアップデートできましたが、その中でも特に2点の気づきがありましたのでお話ししたいと思います。

  • 虫歯は過程(=プロセス)、う窩(虫歯によってできた穴ぼこ)は虫歯という疾患における損傷
  • う窩(虫歯によってできた穴ぼこ)がないのであれば削らない

虫歯は過程(=プロセス)、う窩(虫歯によってできた穴ぼこ)は虫歯という疾患における損傷

最新の虫歯学によると、虫歯というのは、虫歯という疾患(病気)であり、様々な因子が絡み合ってできる過程のことを指します。一方で、一般的に我々が虫歯だね、と話すものは、歯に穴があいた穴ぼこのことを虫歯と呼んでいます。
したがって、歯に穴があいた穴を削って詰めるだけではなく、その過程から治療していきましょう、という流れになってきています。

う窩(虫歯によってできた穴ぼこ)がないのであれば削らない

とても重要なことは、「う窩(虫歯によってできた穴ぼこ)がないのであれば削らない」ということです。歯の表面にできた虫歯(エナメル質に限局している)は削らずに、経年的に経過観察をし、再石灰化(虫歯を治す)を図ることが大切です。

アメリカ歯科医師会による虫歯の分類

ADA caries classification D1
ADA caries classification D2

例えば、上記2つのレントゲン写真から、歯と歯の間にう窩(虫歯によってできた穴ぼこ)がある可能性は40%~80%と言われています。(トータルカリオロジー参考)う窩があるかないかで修復治療(歯を削る治療)を行うかを決定する必要があります。

カリエスブック(医歯薬出版,2020年)

The American Dental Association Caries Classification System for Clinical Practice

JADA 146(2) http://jada.ada.org February 2015